夏猫    きり絵  横倉絹枝  

猫や犬があまり好きではない、という人は
きっと幸せなんだと思う。
でも、一度猫を飼ってみるといいのにとも思う。
あたたかな昼下がりに
寝転がったおなかの上に 飼い猫が乗り
のどをごろごろいわせて
あなたの身体の上で思いっきり くつろぎはじめた時
きっと自分の心の中に気付かずにあった
「スキマ」がゆっくりと埋められていくのを
感じるに違いないのだ。

だから猫に一度「飼われて見る」ことをおすすめする。

そののちに、
人間よりも早く人生を終わる小さないきものによつて
心の中に猫のカタチの穴があいてしまったとしても
ともにすごした日々の、ひだまりのようなあたたかさが
  消えることはないのだから。