花水木とねこ  きり絵  横倉絹枝

枯葉の季節/ライラのこと

総トラ柄の仔猫だった「ライラ」。
家にもらわれてきたときはもう名前が決まっていた。
家では誰も猫を叱らない。
おこたつの上に登れば、「のれたねぇ〜」とほめられ、
トイレができれば、「でたねぇ、よかったね〜」で、なにをしてもほめられるのだ。

枯葉の舞う季節になると思い出す。
2回だけお母さんになったライラ、外から枯葉を一枚得意そうにくわえてきて、
喉の奥でぐるにゃあと何かいいながら、みせびらかす。
カラカラと地面をころがる落ち葉が
なにかとっても「いいもの」のような気がするのだろう。

人から見たらつまらないことでも、夢中になれる何かがあれば、
人生って退屈なんかしないと、
猫を見ているとそう思うのだ。